歯肉弁とは?親知らずに歯ぐきが被さって腫れる原因・治し方と受診の目安|大崎の歯科が解説
2026/09/28
こんにちは。品川区 大崎・五反田の歯科、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室の村田です。
「親知らずのあたりの歯ぐきが腫れて痛い」「奥歯に歯ぐきが被さっている」といったご相談を、診療室でよくお受けします。今回は、その正体である歯肉弁と、そこで起こる炎症(智歯周囲炎)について、原因・症状・受診の目安・治療法を歯科の視点でわかりやすく整理します。
歯肉弁とは?親知らずに歯ぐきが被さった状態
歯肉弁(しにくべん)とは、親知らずなどが途中までしか生えず、歯冠(歯の頭)の一部を覆ったままになっている歯ぐきのことです。英語ではoperculum(オペルクルム)と呼ばれます。親知らずが斜めや半分だけ埋まった状態(半埋伏)のときにできやすく、歯と歯ぐきのすき間に汚れがたまりやすいのが特徴です。
実際に当院でみられた歯肉弁の症例写真をご紹介します(歯ぐきが歯を半分ほど覆っている状態を示すものです)。

↑生えかけの6歳臼歯の例。歯冠の半分が歯ぐき(歯肉弁)に覆われています(大人では主に親知らずで起こります)。

↑こちらは親知らず。同じように歯冠の半分が歯ぐきに覆われています。

↑歯冠の一部を覆っている歯ぐきの部分が歯肉弁です。この下に汚れがたまりやすくなります。
歯肉弁があると起こりやすいトラブル(智歯周囲炎)
歯肉弁の下は、歯ブラシの毛先が届きにくく、プラーク(歯垢)や食べかす、細菌がたまりやすい場所です。かみ合う歯で歯肉弁を噛んでしまう刺激も加わり、炎症が起こることがあります。この、親知らず(智歯)の周りに起こる炎症を智歯周囲炎(ちししゅういえん)といい、親知らずが生えてくる10代後半から30代ごろに多くみられます。
むし歯・歯周病になりやすい:歯肉弁の下は清掃が難しく、親知らずやその手前の歯がむし歯・歯ぐきの炎症を起こしやすくなります。
歯ぐきの腫れ・痛み:細菌が増えると炎症を起こし、腫れて痛むことがあります。
全身症状:進行すると口が開けにくい(開口障害)、飲み込むときの痛み、発熱・だるさ、あご下のリンパ節の腫れを伴うことがあります。
疲れや睡眠不足などで体の抵抗力が落ちると炎症が再発・悪化しやすく、原因となる親知らずが残っている間は症状を繰り返しやすい傾向があります。
そのまま放置すると、①炎症(智歯周囲炎)を繰り返す、②手前の奥歯までむし歯・歯ぐきの炎症が進む、③まれに蜂窩織炎など広い範囲の炎症に至る、といった段階に進むことがあります。気になる症状が続くときは早めに歯科で相談しましょう。
こんな症状は早めの受診を(受診の目安)
次のような症状があるときは、自己判断で様子をみすぎず、歯科(口腔外科)の受診をおすすめします。
親知らず周辺の歯ぐきがズキズキ痛む・ぷっくり腫れている
口が開けにくい/飲み込むときにのどや奥が痛い
発熱・強いだるさがある、あご下や首のリンパ節が腫れている
腫れや痛みを何度も繰り返している
まれではありますが、炎症が強くなると顎の骨膜やリンパ節、頬やあごの下の組織(蜂窩織炎)へ広がり、のどや首のほうへ及ぶことがあります。強い腫れ・発熱・口が開けにくいといった症状があるときは、早めに受診してください。
腫れたときの応急ケア(受診までにできること)
受診までのあいだ、悪化を防ぐために自分でできる応急的なケアがあります。ただしこれは炎症を根本的に治すものではないため、腫れや痛みがあるときは歯科の受診とあわせて行ってください。
患部を清潔に保つ:ヘッドが小さめでやわらかい歯ブラシで、歯肉弁のまわりをやさしく清掃します。
うがいで洗い流す:殺菌成分を含むうがい薬(洗口液)や、ぬるま湯でのうがいで食べかす・細菌を洗い流します。強くこすりすぎないようにします。
体を休める:睡眠・栄養をとり、体の抵抗力を落とさないようにします。
痛みが強い・数日たっても改善しない・発熱や開口障害があるといった場合は、応急ケアで済ませず受診してください。市販の痛み止めは一時的に症状をやわらげることがありますが、歯肉弁の下の原因(汚れ・炎症)は残るため、根本的な対処にはなりません。
歯科での治療法
歯科では、炎症の強さや親知らずの生え方に応じて治療を選びます。
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- STEP 1急性期は炎症を抑える
- 歯肉弁の下を洗浄し、必要に応じて抗菌薬・鎮痛薬で炎症と痛みを抑えます。膿がたまっている場合は切開して膿を出す(切開排膿)ことがあります。
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- STEP 2歯肉弁の切除を検討
- 親知らずの位置が比較的よく、被さった歯ぐきが主な原因のときは、局所麻酔をして余分な歯ぐきを取り除く「歯肉弁切除」を行うことがあります。メスや歯科用レーザーで切除する方法があります。
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- STEP 3くり返す場合は抜歯を検討
- 斜めや半分埋まった生え方で炎症を繰り返す場合は、原因の親知らずの抜歯を検討します。強い急性炎症があるときは、まず炎症を落ち着かせてから抜歯・切除を行うのが一般的です。
歯肉弁切除や抜歯などの処置は局所麻酔をして行い、術後は痛み止めで対応できることが多いですが、出血・腫れ・治りの個人差・再発などが起こる場合もあります。適応や進め方、費用は生え方や炎症の状態によって異なるため、実際の治療方針は診察のうえで決めていきます。費用の詳細は受診時にご確認ください。
再発を防ぐには
炎症を繰り返さないためには、親知らず周囲を含めた毎日のていねいな清掃と、歯科医院での定期的なチェック・清掃が役立ちます。奥まった部位は普通の歯ブラシだけでは届きにくいため、タフトブラシ(毛束の小さいブラシ)などの補助清掃用具を併用すると、汚れを落としやすくなります。清掃方法に迷うときは、受診時に磨き方の指導を受けるのがおすすめです。
よくある質問
まとめ
親知らずに歯ぐきが被さった状態(歯肉弁)は、その下に汚れがたまって炎症(智歯周囲炎)を起こしやすい場所です。軽い違和感なら清掃とうがいで様子をみられますが、腫れ・痛み・発熱・口が開けにくいといった症状があるときは、我慢せず早めに受診してください。症状が軽いうちに対処することで、治療の選択肢も広がります。「奥歯に歯ぐきが被さって気になる」段階でのご相談も歓迎です。
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室(JR大崎駅徒歩4分・品川区東五反田2-16-1 ザ・パークタワー1F)
TEL:03-5739-1625|五反田・大崎エリアのご案内|予防歯科について
監修医・医院情報
監修医:小林 伸(医療法人KDS 理事長/日本臨床歯周病学会 認定医/ITIインプラントスペシャリスト/日本顎咬合学会 認定医)
専門:フルアーチインプラント、審美修復、歯周形成外科
所属:日本臨床歯周病学会、日本顎咬合学会、ITIインプラントメンバー ほか
執筆:村田(大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室)
日本口腔外科学会 口腔外科相談室(歯および歯周疾患):https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei/
済生会 智歯周囲炎(ちししゅういえん)とは:https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/pericoronitis_of_the_wisdom_tooth/
e-ヘルスネット(厚生労働省)歯周病:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/teeth/h-03-001.html
東北大学 保健管理センター「智歯周囲炎」(好発年齢・症状):https://www.health.ihe.tohoku.ac.jp/wp-content/uploads/2015/03/shiori-40.pdf
日本歯科医師会 テーマパーク8020 正しいブラッシング:https://www.jda.or.jp/park/prevent/index08_04.html
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状の原因や適切な治療は一人ひとり異なり、記載した内容・治療の効果・費用・期間はすべての方に同じ結果をお約束するものではありません。気になる症状や治療については、歯科医院での診察をおすすめします。
最終更新:2026年9月27日
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