歯を支える栄養素はカルシウムだけじゃない|管理栄養士が教える食事|大崎の歯医者

   

Q.歯を支える栄養素はカルシウムだけ?
A.いいえ。
カルシウムに加えて、吸収を助けるビタミンD、歯ぐきやお口の組織の材料になるたんぱく質とビタミンC。
この4つをバランスよくとることが大切です。
特別な食品やサプリメントではなく、毎日の食事で十分にそろえられます。

 

こんにちは。
品川区JR大崎駅から徒歩4分、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室で管理栄養士・歯科助手を務めている竹内です。

「歯を丈夫にするにはカルシウム!」そんなイメージをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
たしかにカルシウムは歯にとって大切な栄養素です。
ただ、歯やお口の健康は、カルシウムだけで支えられるわけではないと考えられています。

私は管理栄養士として食べ物と体の関係を、歯科助手として毎日の診療で見るお口の状態を、どちらも近くで見てきました。
診療室では「子どもの歯のために何を食べさせたらいいですか」「カルシウムのサプリは飲んだほうがいいですか」というご相談をよくいただきます。
この記事では、そうしたご質問にお答えしてきた経験をもとに、カルシウムと一緒にとりたい栄養素、今の季節(6月から9月ごろ)に手に入りやすい食材、厚生労働省の基準にもとづいた量の目安まで、まとめてやさしく解説します。

 

カルシウムは歯の「材料」。でも材料だけでは支えられません

歯の表面をおおうエナメル質や、歯を支えるあごの骨は、カルシウムを主な材料としてつくられています。
歯にとってカルシウムが大切なのは間違いありません。

ここで一つ知っておきたいのは、栄養が関わるタイミングは組織によって違うということです。
歯の表面のエナメル質は、歯がつくられる成長期に、カルシウムなどを材料にして形づくられます。
一方で、歯を支えるあごの骨(歯槽骨)や歯ぐきは、大人になってからも日々つくりかえられている組織です。
つまり「今日の食事」が関わりやすいのは、エナメル質そのものよりも、歯ぐきや歯を支える土台のコンディションだとイメージすると分かりやすいかもしれません。

また、カルシウムにはひとつ弱点があります。
それは、体に吸収されにくい栄養素だということです。
せっかくカルシウムを意識して食べても、体がうまく受け取れなければ十分に活かせません。
大事なのは、カルシウムをとることだけでなく、体の中で活かすこと。
そのためには、カルシウムを助ける仲間の栄養素が必要になります。

 

カルシウムを活かす名脇役。ビタミンDとたんぱく質

結論からいうと、カルシウムの吸収を支えるのがビタミンD、歯ぐきやお口の組織の材料になるのがたんぱく質です。

 

ビタミンD:カルシウムの吸収を助ける

ビタミンDは、腸でのカルシウムの吸収を助ける栄養素です。
カルシウムをしっかりとっていても、ビタミンDが不足していると効率よく吸収しにくくなるといわれています。

ビタミンDはイワシやアジ、サケなどの魚や、きのこ類に多く含まれています。
また、日光を浴びることで体の中でもつくられるという、少し変わった特徴があります。

 

たんぱく質:歯ぐきやお口の組織をつくる材料

たんぱく質は、歯ぐきや粘膜、歯を支えるあごの骨の土台など、お口の組織をつくる材料です。
筋肉のイメージが強い栄養素ですが、実はお口の健康にも深く関わっています。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などからバランスよくとることが大切です。

 

歯ぐきの健康を支えるビタミンC

ビタミンCは、歯ぐきの主成分であるコラーゲンをつくるときに使われる栄養素です。
不足すると歯ぐきがゆらぎ、出血しやすくなることがあるといわれています。
裏を返せば、毎日の食事でビタミンCを補っていくことは、歯ぐきの健康を内側から支えることにつながります。

カルシウムだけを意識していても、ビタミンDやたんぱく質、ビタミンCが不足すると、歯ぐきまで含めたお口全体の健康は保ちにくくなります。
歯とお口の健康は「カルシウム+それを支えるチーム」で支える、とイメージしてみてください。

 

今が旬。夏(6月から9月)に手に入る歯にうれしい食材

結論からいうと、これからの季節は旬の食材を組み合わせるだけで、ここまでに出てきた栄養素が自然にそろいます。

モロヘイヤ:野菜の中でもカルシウムが豊富な夏の青菜。ゆでておひたしやスープにすると食べやすくなります

オクラ・枝豆:枝豆は植物性たんぱく質が豊富。ゆでるだけで、おやつやおつまみになります

ゴーヤ・ピーマン・トマト:ビタミンCがとれる夏野菜。ゴーヤやピーマンのビタミンCは、加熱に比較的強いといわれています

イワシ・アジなどの青魚:ビタミンDとカルシウムを一緒にとれる心強い食材。塩焼きでも缶詰でも

きのこ類:一年中手に入るビタミンD源。汁物に入れると手軽にとれます

たとえば「ごはん+アジの塩焼き+モロヘイヤのおひたし+トマト」のような定食スタイルにするだけで、カルシウム・ビタミンD・たんぱく質・ビタミンCがそろいます。
特別な食品を買い足さなくても、旬の食材の組み合わせで十分なのです。

 

食事で足りない分は、サプリメントという選択肢も

先にお伝えすると、基本は食事から。
サプリメントは、食事で補いにくいときの「足し算」として考えるのがおすすめです。

代表的なのがビタミンDです。
多く含む食材が魚やきのこに限られるうえ、日焼け対策などで日光に当たる時間が少ないと、体内でつくられる量も限られます。
厚生労働省の国民健康・栄養調査でも、ビタミンDの摂取量には個人差が大きいことが報告されており、魚をあまり食べない方や屋内で過ごす時間が長い方では不足しやすいといわれています。

ただし、サプリメントはあくまで補助です。
ビタミンDは脂溶性で体にたまりやすく、食事摂取基準でも1日の上限量(18歳以上で100マイクログラム)が定められています。
サプリメントで補う場合はパッケージの目安量を必ず守り、持病のある方やお薬を飲んでいる方、妊娠中の方は、かかりつけの医師や管理栄養士に相談してから取り入れるようにしてください。

 

あなたに必要な量はどれくらい?厚生労働省の基準から

目安をひとつだけ覚えるなら、成人女性のカルシウム推奨量は1日650mg。
牛乳コップ1杯(200ml)でおよそ220mgとれるので、牛乳だけでまかなうなら約3杯分です。

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに、体格の目安(参照体位)と1日にとりたい量をまとめました。
ご自身やご家族にあてはめてみてください。

 

成人女性(18〜49歳)

身長の目安はおよそ158cm、体重51〜53kg。
カルシウム650mg、たんぱく質50gが1日の推奨量です。

 

子ども(6〜7歳)

身長の目安はおよそ118〜120cm、体重22kg前後。
カルシウムは1日550〜600mgが推奨量です。

 

子ども(8〜11歳)

身長の目安はおよそ130〜144cm、体重27〜36kg。
カルシウムは男の子で650〜700mg、女の子は750mgと、大人の女性より多くなります。

 

成人男性(18〜49歳)

身長の目安はおよそ172cm、体重63〜70kg。
カルシウム750〜800mg、たんぱく質65gが1日の推奨量です。

意外に思われるかもしれませんが、骨や歯がぐんぐん育つ8〜11歳ごろの女の子は、カルシウムがお母さんより多く必要です。
お子さんの食事を考えるときに、ぜひ覚えておいてほしいポイントです。

このほか、ビタミンDは18歳以上で1日9.0マイクログラムが目安量、ビタミンCは1日100mgが推奨量とされています。

また、厚生労働省は食事全体のバランスとして、1日のエネルギーのうち、たんぱく質13〜20パーセント、脂質20〜30パーセント、炭水化物50〜65パーセントという目標範囲を示しています。
難しく考えなくても、主食(ごはん・パン)、主菜(肉・魚・卵・大豆)、副菜(野菜・きのこ・海藻)がそろった食事を意識すれば、自然とこのバランスに近づきます。

 

よくある質問

Q.歯にいい食べ物を、ひとことで知りたいです。
A.カルシウム(乳製品・小魚・青菜)、ビタミンD(青魚・きのこ)、たんぱく質(肉・魚・卵・大豆)、ビタミンC(夏野菜・果物)を組み合わせるのが基本です。ひとつの食品に頼るより、組み合わせが大切です。
Q.カルシウムをたくさんとれば、歯は丈夫になりますか。
A.カルシウムは大切ですが、とればとるほど良いわけではありません。吸収を助けるビタミンDや、歯ぐきをつくるたんぱく質・ビタミンCと一緒に、バランスよくとることが基本です。
Q.栄養に気をつければ、虫歯や歯周病は防げますか。
A.食事はお口の健康を支える土台のひとつですが、栄養だけで虫歯や歯周病を防げるわけではありません。毎日の歯みがきや、定期的な歯科でのチェックと組み合わせることが大切です。
Q.歯ぐきからの出血と栄養は関係がありますか。
A.ビタミンCやたんぱく質は歯ぐきの組織に関わる栄養素です。ただし、出血が続く場合は歯周病など栄養以外の原因であることも多いため、一度歯科でご相談ください。
Q.妊娠中に気をつけたい栄養はありますか。
A.妊娠中は必要量が変わる栄養素があります。サプリメントの利用も含めて、かかりつけの医師や管理栄養士にご相談いただくと安心です。
Q.子どものおやつで、歯にうれしいものはありますか。
A.小魚やチーズ、ヨーグルト、枝豆などは、カルシウムやたんぱく質がとれるおすすめのおやつです。甘いお菓子を完全にやめる必要はありませんが、時間を決めて食べることで歯への負担を減らせます。
Q.食事に自信がないので、サプリメントだけで補ってもいいですか。
A.サプリメントはあくまで食事の補助です。食べ物には、かむことで唾液の分泌をうながすなど、栄養素以外の働きもあります。まずは食事を土台にして、足りない分を補う使い方をおすすめします。

 

まとめ:特別な食品より、毎日のバランスの良い食事を

歯とお口の健康を支えるのは、特別な食品やサプリメントではなく、毎日のバランスの良い食事です。
カルシウムに、ビタミンD・たんぱく質・ビタミンCという仲間を加えて、旬の食材と一緒においしくとっていく。
それが歯と体の健康の、何よりの土台になります。

歯と体の健康のために、今日の食事を少しだけ見直してみませんか。

当院には管理栄養士が在籍しており、お子さんの食事やおやつのことも含めて、栄養とお口の健康の両面からご相談いただけます。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うような小さな疑問でも大丈夫です。
歯ぐきからの出血や、お子さんの歯の成長で気になることがある方は、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室までお気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人

文:竹内(たけうち)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 管理栄養士・歯科助手

歯科助手として毎日の診療の現場でお口の健康を、管理栄養士として食べ物と体の関係を、両方の視点から学び続けています。
診療室で見てきた経験をもとに、毎日の生活から始められるお口の健康づくりをお伝えしています。

 

この記事の監修者

小林 伸(こばやし しん)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長・院長

日本歯科大学生命歯学部を卒業後、日本歯科大学付属病院での臨床研修を修了。
2016年に医療法人社団KDSを設立し、理事長に就任。

所属・認定・資格等:ITI公認インプラントスペシャリスト、日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医、インビザライン・ドクター、介護支援専門員

本記事の歯・顎・治療に関する医療的な記述は、歯科医師である小林が監修しています。

 

参考文献

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(栄養素の推奨量・目安量・耐容上限量・参照体位・エネルギー産生栄養素バランス)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_44138.html

厚生労働省「国民健康・栄養調査」(ビタミンDなどの栄養素摂取状況)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補」(食材の栄養成分)
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/

厚生労働省 e-ヘルスネット(栄養と健康に関する解説)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

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大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸



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