🦷 歯が痛いときの原因と応急処置|夜のズキズキ・市販薬の注意点を歯医者が解説

   

Q.急に歯が痛くなりました。今日できる応急処置と、受診の目安を知りたいです。
A.歯の痛みの原因はむし歯・歯髄(神経)の炎症・歯周病・親知らず・知覚過敏などさまざまで、自己判断は難しいものです。
今日できることは「痛む側の頬を外から冷やす」「用法どおりに市販の鎮痛薬を使う」「やさしく口の中を清潔に保つ」の3つ。
逆に、温める・患部を触る・放置するのは悪化のもとです。
応急処置はあくまで一時しのぎなので、ズキズキ続く痛み・腫れ・眠れない痛みがあれば早めに歯科でご相談を。

みなさん、こんにちは。
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 院長の小林です。

「夜になって急に歯がズキズキしてきた」「明日まで我慢できそうにない」——大崎にある当院にも、こうしたお悩みはよく寄せられます。
歯の痛みは、原因によって対処も受診の急ぎ方も変わります。
この記事では、痛みの主な原因の見分け方と、ご家庭で今日からできる応急処置、そして「これはやってはいけない」という行動を、歯科医師の立場から整理してお伝えします。
なお、ここでお話しするのは一般的な情報です。
実際の痛みの原因は診察しないと特定できないため、最終的には歯科での確認をおすすめします。

 

歯が痛い主な原因と、それぞれの特徴

ひとくちに「歯が痛い」といっても、原因はいくつもあります。
代表的なものを見ていきましょう。

 

むし歯(う蝕)

最も多い原因がむし歯です。
むし歯は、細菌が糖質をもとに作り出す酸によって歯が溶かされて起こる病気です(厚生労働省 e-ヘルスネット)。
初期はほとんど痛みがありませんが、穴が深くなって象牙質まで進むと、冷たいものや甘いものでしみるようになります。
むし歯と歯周病は歯科の二大疾患といわれるほど身近な病気で、進行したむし歯が放っておいて自然に治ることはありません。

 

歯の神経の炎症(歯髄炎)

むし歯がさらに進み、歯の中心にある神経(歯髄)まで炎症が及んだ状態が歯髄炎です。
MSDマニュアル(プロフェッショナル版)によると、歯髄炎は未処置のむし歯・外傷・複数回の治療などに起因し、主な症状は痛みとされています。
歯髄炎には大きく2つの段階があります。
冷たいものや甘いもので痛んでも刺激を取り除けば1〜2秒で治まる「可逆性歯髄炎」と、何もしなくてもズキズキ痛んだり、刺激を取り除いた後も痛みが何分も残る「不可逆性歯髄炎」です。
後者まで進むと、神経を取る治療(根管治療)が必要になることがあります。
夜に脈打つように痛む、痛みでよく眠れないというときは、この歯髄炎が疑われる典型的なサインです。

 

歯周病

歯周病は、歯と歯ぐきの隙間(歯周ポケット)に入り込んだ細菌が歯ぐきに炎症を起こし、進行すると歯を支える骨まで溶かしてしまう病気です(厚生労働省 e-ヘルスネット)。
ふだんは静かに進行しますが、疲れや体調不良で抵抗力が落ちると、歯ぐきが急に腫れて痛む「急性発作」を起こすことがあります。
むし歯とは別の病気で、歯周病とむし歯は歯科の二大疾患といわれています。

 

親知らず(智歯周囲炎)

親知らずは生える位置や角度の関係で、歯ブラシが届きにくく汚れがたまりやすい場所です。
その周りの歯ぐきに細菌が繁殖して炎症を起こすと、奥のほうがズキズキ痛んだり、腫れて口が開けにくくなったりします。
これを智歯周囲炎といいます。
一度治まっても繰り返すことが多いのが特徴です。

 

知覚過敏

知覚過敏は、歯の表面のエナメル質が摩耗したり歯ぐきが下がったりして、内側の象牙質が露出することで起こります(日本歯科医師会 テーマパーク8020)。
冷たいものや甘いもの、歯ブラシの刺激でキーンとしみますが、痛みは一時的で、刺激がなくなれば短時間で治まるのが特徴です。
ここがむし歯や歯髄炎との見分けのヒントになります。
ただし放置して悪化すると、痛みが長く続くようになることもあります。

 

詰め物・被せ物が取れた

詰め物や被せ物が外れると、それまで守られていた歯の内側がむき出しになり、冷たいものや空気でしみたり、噛むと痛んだりします。
中で新たにむし歯が進んでいることもあるため、取れた物は捨てずに保管し、早めに受診してください。

 

食いしばり・歯ぎしり

日中の無意識の食いしばりや就寝中の歯ぎしりも、歯や周囲の組織に負担をかけ、朝起きたときの歯やあごの痛み、噛んだときの違和感の原因になります。

 

今日からできる応急処置

歯科を受診するまでの「一時しのぎ」として、ご家庭でできる対処を紹介します。
あくまで痛みをやわらげるための処置で、原因そのものが治るわけではない点にご注意ください。

痛む側の頬を外から冷やす
ズキズキする痛みは、患部で炎症が起きているサインのことがあります。痛む側の頬の外側から、水で濡らしたタオルや冷却シートを当てて冷やすと、血流が抑えられて痛みがやわらぐことがあります。ただし、氷を直接口に含むなど急激に冷やしすぎるのは逆効果になりやすいので避けましょう。

市販の鎮痛薬を「用法・用量どおり」に使う
受診までの間、市販の鎮痛薬を使うのは有効な選択肢のひとつです。使うときは必ず添付文書の用法・用量を守り、決められた量を超えて飲まないでください。痛む歯ぐきに直接錠剤を当てる、量を増やすといった自己流の使い方は、かえって粘膜を傷めることがあるためおすすめしません。持病がある方や妊娠中・授乳中の方、ほかの薬を服用中の方は、市販薬を使う前に薬剤師や医師にご相談ください。市販薬で痛みが治まっても、原因が消えたわけではありません。

やさしく口の中を清潔に保つ
むし歯の穴に食べかすが入り込むと痛みが強くなることがあります。ぬるま湯や薄い塩水でやさしくうがいをして、口の中を清潔に保ちましょう。歯ブラシを使うときは、痛む部分を強くこすらないよう注意してください。

 

やってはいけないこと

良かれと思ってやったことが、痛みを悪化させてしまうこともあります。
次の行動は控えてください。

体を温める
入浴・サウナ・激しい運動・飲酒などは血行を促進し、炎症部の痛みや腫れを強めることがあります。痛みが強いときは、湯船につからずシャワーで済ませ、安静に過ごしましょう。

患部を指や舌で触る
気になってつい触ってしまいがちですが、指には多くの細菌が付いており、患部を刺激して炎症を悪化させるおそれがあります。できるだけ触らないようにしてください。

痛みをそのまま放置する
応急処置で痛みが一時的に消えても、むし歯や炎症が治ったわけではありません。とくに歯髄炎を放置すると、まれに根尖膿瘍や蜂窩織炎などの感染が広がることがあるとされています(MSDマニュアル)。痛みが引いたからと安心せず、必ず受診してください。

 

こういう痛みは早めの受診を

次のような症状は、自然に治る可能性が低く、早めの受診をおすすめします。

何もしていなくてもズキズキ痛む、脈打つように痛む

夜になると痛みが強くなり、眠れない

痛み止めを飲んでも効きにくい、すぐにぶり返す

歯ぐきや頬が腫れている、口が開けにくい

詰め物・被せ物が取れて、しみる・噛むと痛い

数日たっても痛みが続く、または強くなっている


一方、冷たいものでキーンとしみるだけで数十秒以内に治まる場合は知覚過敏のこともありますが、むし歯との見分けは専門的な検査が必要です。
「これくらいなら大丈夫」と自己判断せず、気になる症状があればご相談ください。

実際の診療でも、「市販の痛み止めでしのいでいるうちに、夜の痛みがだんだん強くなった」という流れで来院される方は少なくありません。
痛みが出てから受診までの時間が短いほど、歯を残せる選択肢が広がりやすいと、日々の診療を通して感じています。
当院では、痛みを抑えた治療を心がけ、拡大鏡やマイクロスコープを使ってできるだけ歯を残す精密な虫歯治療(https://oval-dc.net/general-dentistry)に取り組んでいます。
歯ぐきの腫れや出血が気になる方には歯周病治療(https://oval-dc.net/periodontal-disease)、奥歯や親知らずの痛みには親知らず・口腔外科(https://oval-dc.net/oral-surgery)の診療でも対応しています。

 

よくある質問

Q.夜中に歯が痛くなりました。朝まで我慢して大丈夫ですか。
A.まずは痛む側の頬を外から冷やし、市販の鎮痛薬を用法どおりに使ってしのいでください。
ただし夜にズキズキ強く痛むのは歯髄炎などのサインのことがあり、応急処置で和らいでも原因は残っています。
翌日できるだけ早めに歯科を受診しましょう。
Q.市販の痛み止めを多めに飲めば、もっと効きますか。
A.いいえ、量を増やすのは危険です。
必ず添付文書に記載された用法・用量を守ってください。
持病・妊娠中・服薬中の方は、使う前に薬剤師や医師に相談することをおすすめします。
Q.痛みが自然に消えました。受診しなくてもいいですか。
A.痛みが消えても、むし歯や炎症が治ったとは限りません。
神経が炎症で弱り、痛みを感じなくなっただけのこともあります。
再発や悪化を防ぐため、一度受診して原因を確認することをおすすめします。
Q.冷たいものでしみるだけなら、知覚過敏でしょうか。
A.刺激がなくなれば短時間で治まる痛みは知覚過敏のことがありますが、初期のむし歯でも似た症状が出ます。
見分けには検査が必要なので、しみる症状が続くようなら歯科でご確認ください。
Q.取れた詰め物は、どうすればいいですか。
A.捨てずに保管し、できるだけ早く受診してください。
中でむし歯が進んでいることもあるため、無理に自分で戻したり接着剤でつけたりせず、そのままお持ちください。

 

まとめ

歯の痛みの原因は、むし歯・歯髄炎・歯周病・親知らず・知覚過敏など多岐にわたり、ご自身で正確に見分けるのは難しいものです。
今日できる応急処置は「冷やす・鎮痛薬を用法どおりに使う・やさしく清潔に保つ」の3つ、避けたいのは「温める・触る・放置する」。
これらはあくまで一時的な対応です。

ズキズキ続く痛み、腫れ、眠れない痛みがあれば、早めの受診が安心です。
歯の痛みにお困りの方は、大崎の当院までお気軽にご相談ください。
ご予約は初診ネット予約(https://oval-dc.net/reservation)、またはお電話で承っています。

 

この記事を書いた人

小林 伸(こばやし しん)/大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長・院長(歯科医師)
2016年に医療法人社団KDSを設立し、理事長に就任。大崎・品川エリアで地域の歯科医療に携わっています。
所属・認定・資格等:ITI公認インプラントスペシャリスト、日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医、インビザライン・ドクター
本記事は、歯科医師である小林が執筆・監修しています。

参考文献

・厚生労働省 e-ヘルスネット「むし歯」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth-summaries/h-02.html
・厚生労働省 e-ヘルスネット「歯周病とは」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-03-001.html
・MSDマニュアル プロフェッショナル版「歯髄炎」 https://www.msdmanuals.com/ja-jp/professional/15-%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%96%BE%E6%82%A3/%E4%B8%80%E8%88%AC%E7%9A%84%E3%81%AA%E6%AD%AF%E7%A7%91%E7%96%BE%E6%82%A3/%E6%AD%AF%E9%AB%84%E7%82%8E
・日本歯科医師会 テーマパーク8020「知覚過敏」 https://www.jda.or.jp/park/trouble/index12.html

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。気になる症状や治療については、歯科医院での診察をおすすめします。

 



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大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸


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