歯ぎしり・食いしばりで起こる「見えないダメージ」と対策|大崎の歯医者

   

Q.歯ぎしり・食いしばりは、放っておくとどうなるの?
A.自覚がないまま、歯のすり減りやヒビ、知覚過敏などが少しずつ進んでいることがあります。対策には、歯を守るマウスピースと、食いしばりの力をやわらげるボツリヌス治療という選択肢があります。気になる症状があれば、早めに歯科でご相談を。

 

こんにちは。
品川区JR大崎駅から徒歩4分、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室で管理栄養士・歯科助手を務めている竹内です。

突然ですが、こんな心当たりはありませんか。

「朝起きたとき、なんとなく顎がだるい」
「冷たいものを飲むと、歯がしみる気がする」
「家族から、寝ている間の歯ぎしりを指摘されたことがある」

実は、歯ぎしりや食いしばりは、歯や顎に大きな負担をかけています。
やっかいなのは、本人にはほとんど自覚がないまま進むこと。
歯科助手として診療のそばにいると、「自分ではまったく気づいていなかった」という患者さんが本当に多いと感じます。

この記事では、歯ぎしり・食いしばりが引き起こす「見えないダメージ」と、ご自身でできる気づき方、そしてマウスピースとボツリヌス治療という2つの対策まで、まとめてやさしく解説します。

 

歯ぎしり・食いしばりは、歯と顎にこんな負担をかけています

まず知っておきたいのは、歯ぎしりや食いしばりの力は、無意識のうちに、長い時間かかり続けるということです。

食事のときの「噛む」は一瞬ですが、睡眠中の歯ぎしりや、日中の食いしばりは、強い力が同じ場所にかかり続けます。
本来、上下の歯は、唇を閉じていても少し離れているのがリラックスした状態です。
気づくと歯をぐっと噛みしめている——そんな習慣があると、歯にも、歯を支える組織にも、顎の関節や筋肉にも、休む時間がなくなってしまいます。

歯ぎしりは寝ている間に起こることが多く、ご自身では気づきにくいもの。
「家族に指摘されて初めて知った」という方も少なくありません。

 

自覚がなくても進む「見えないダメージ」

結論からいうと、歯ぎしり・食いしばりのダメージは、痛みが出る前から静かに進んでいることがあります。
代表的なものをご紹介します。

歯のすり減り:歯の先端が平らになったり、噛み合わせの面がすり減ったりすることがあります

歯のヒビ:歯の表面に細かいヒビが入ることがあります。ヒビから刺激が伝わり、しみる原因になることも

知覚過敏:冷たいものがしみる症状。すり減りやヒビと関連して起こることがあります

詰め物・かぶせ物のトラブル:強い力がかかり続けることで、詰め物が欠けたり外れたりしやすくなることがあります

顎や筋肉への負担:朝の顎のだるさ、口の開けにくさ、こめかみや頬の筋肉の張りとして現れることがあります

ご自身でできる簡単なセルフチェックもあります。

朝起きたとき、顎やこめかみがだるい・重い

頬の内側に、噛んだような白い線がついている

舌のふちに歯の跡(歯型)がついている

仕事や家事に集中しているとき、ふと気づくと歯を噛みしめている

歯の先端が平らになってきた気がする

あてはまるものがあれば、歯ぎしり・食いしばりのサインかもしれません。
ただし、自己判断だけでは原因を特定できないため、気になる場合は歯科で確認しましょう。

なお、歯ぎしり・食いしばりの原因は、まだ完全には解明されていません。
ストレスや緊張、睡眠の状態、噛み合わせなど、複数の要因が関わっていると考えられています。
原因探しよりも、まず歯を守る対策を始めることが大切です。

 

自分でできる対策:「歯を離す」を意識することから

日中の食いしばりは、気づくことができれば減らしやすい習慣です。

唇を閉じて、歯を離す:上下の歯が触れていたら、ふっと力を抜いて離す。これがリラックスした状態です

目につく場所にメモを貼る:パソコンやキッチンなど、集中しやすい場所に「歯を離す」と書いた付箋を貼り、見るたびに確認する

頬杖・うつぶせ寝を避ける:顎に一方向の力がかかり続ける姿勢は、負担のもとになります

寝る前にリラックスする時間をつくる:就寝前のスマートフォンを控えめにして、ゆったり過ごすことも一つの工夫です

ただし、睡眠中の歯ぎしりは、意識ではコントロールできません。
ここから先は、歯科の出番です。

 

対策①マウスピース(ナイトガード):歯を「守る」

就寝中に装着するマウスピースで、歯と歯が直接こすれ合うのを防ぎ、力を分散させます。
症状や診断によっては、保険が適用される場合があります。
費用や作製の流れは、お口の状態を拝見したうえでご説明します。

あわせて、当院の定期検診では、むし歯や歯周病のチェックだけでなく、すり減り・ヒビ・詰め物の状態など、歯ぎしり・食いしばりによるダメージの確認も行っています。
「自分は大丈夫」と思っている方にも、定期検診での確認をおすすめします。

 

対策②ボツリヌス治療:食いしばる力を「やわらげる」

もうひとつの選択肢が、ボツリヌス治療です。

ボツリヌス治療は、ボツリヌス菌がつくるたんぱく質(ボツリヌストキシン)を精製した薬剤を、噛むときに使う筋肉(咬筋)に少量注射する治療です。
薬剤には筋肉の緊張をやわらげる働きがあり、咬筋の過剰な働きが抑えられると、無意識の食いしばりや歯ぎしりの力がやわらぎます。
診査のうえで適応がある場合に、歯や顎への負担の軽減を目指します。

「菌」と聞くと不安に感じるかもしれませんが、注射するのは精製された薬剤であり、菌そのものを体に入れるわけではありません。
ボツリヌス製剤は、医科の分野でも広く使われてきた薬剤です。

マウスピースが歯を「守る」対策なのに対して、ボツリヌス治療は咬筋の過剰な緊張をやわらげ、食いしばりによる負担の軽減を目指すアプローチです。
役割が違うため、併用することでより歯を守りやすくなる場合もあります。

治療は、カウンセリング・診査で適応を確認したうえで、咬筋に数か所、細い針で薬剤を注射します。
効果の現れ方には個人差があり、数日から数週間かけて徐々に変化を感じる方が多いといわれています。

効果は永久ではありません。
一般的に数か月かけて徐々に薄れていくため、状態を見ながら、繰り返しの施術を検討していくことになります。

 

リスク・副作用について

注射部位の痛み、腫れ、内出血が起こることがあります

一時的に「噛む力が弱くなった」と感じることがあります

効果の現れ方・持続期間には個人差があります

妊娠中・授乳中の方、神経や筋肉の病気をお持ちの方は受けられない場合があります

当院では、こうしたリスクを事前にご説明し、ご納得いただいたうえで治療を行います。

 

よくある質問

Q.歯ぎしりは治せますか。
A.原因がさまざまなため、歯ぎしりそのものを完全に止める方法は、現在のところ確立されていません。
ただ、マウスピースや生活習慣の工夫、ボツリヌス治療などで、歯へのダメージを抑えることを目指せます。
Q.マウスピースは保険でつくれますか。
A.症状や診断によって、保険が適用される場合があります。
費用や作製の流れは、お口の状態を拝見したうえでご説明しますので、お気軽にご相談ください。
Q.ボツリヌス注射は痛くないですか。
A.細い針を使用するため、強い痛みを感じる方は多くありませんが、痛みの感じ方には個人差があります。
不安な方は、事前にご相談ください。
Q.ボツリヌス治療は、1回受ければずっと効果が続きますか。
A.効果は永久ではなく、一般的に数か月かけて徐々に薄れていきます。
状態に合わせて、繰り返しの施術を検討します。
また、妊娠中・授乳中の方など、受けられない場合もあります。
Q.子どもの歯ぎしりは心配いりませんか。
A.お子さんの歯ぎしりは、歯や顎の成長の過程で見られることがあり、多くの場合は経過を見守ります。
ただし、歯のすり減りが目立つ、痛みを訴える、顎の違和感がある、睡眠や日中の様子が気になる場合は、一度ご相談ください。

 

まとめ:「見えないダメージ」は、早めの気づきと対策で守れます

歯ぎしり・食いしばりは、自覚がないまま、歯のすり減りやヒビ、知覚過敏といった「見えないダメージ」を進めていることがあります。
朝の顎のだるさ、歯がしみる感じ、家族からの指摘——小さなサインに気づいたら、それが歯を守るチャンスです。

対策には、歯を守るマウスピースと、食いしばりの力をやわらげるボツリヌス治療という選択肢があり、お口の状態に合わせて組み合わせることもできます。

大切な歯を守るためにも、気になる症状があれば早めに歯科医院へご相談ください。
当院の定期検診では、むし歯や歯周病だけでなく、歯ぎしり・食いしばりによるダメージも確認しています。

「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うような小さな疑問でも大丈夫です。
品川区・大崎エリアで、歯ぎしりや食いしばり、歯のしみる症状が気になる方は、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室までお気軽にご相談ください。

 

この記事を書いた人

文:竹内(たけうち)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 管理栄養士・歯科助手

歯科助手として毎日の診療の現場でお口の健康を、管理栄養士として食べ物と体の関係を、両方の視点から学び続けています。
診療室で見てきた経験をもとに、毎日の生活から始められるお口の健康づくりをお伝えしています。

 

この記事の監修者

小林 伸(こばやし しん)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長・院長

日本歯科大学生命歯学部を卒業後、日本歯科大学付属病院での臨床研修を修了。
2016年に医療法人社団KDSを設立し、理事長に就任。

所属・認定・資格等:ITI公認インプラントスペシャリスト、日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医、インビザライン・ドクター、介護支援専門員

本記事の歯・顎・治療に関する医療的な記述は、歯科医師である小林が監修しています。

 

参考文献

厚生労働省 e-ヘルスネット(歯ぎしり・ブラキシズムに関する解説)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。
実際の治療方針は、診査診断のうえで個別にご提案いたします。
ボツリヌス治療は自由診療(保険適用外)です。

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すべてのコンテンツの無断転載、無断引用はご遠慮ください。
転載・引用をご希望の場合は、必ず当院までご相談ください。
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸



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