歯の根元が削れる・すり減る原因と治療法|放置するとどうなる?【大崎の歯科医院が解説】

      2026/07/30

歯の根元のすり減りについて解説する女性スタッフのイラスト

 

Q.歯の根元が削れて(すり減って)しまったら、どうすればいいですか?
A.すり減って失われた歯質は、残念ながら自然には元に戻りません。ただし、軽度であれば知覚過敏を抑える薬剤の塗布やブラッシングの見直しで進行を抑えられる場合があり、段差が大きい場合は歯の色に近いレジン(プラスチックの詰め物)で覆う治療が一般的です。しみる症状や段差に気づいたら、深くなる前に一度歯科医院でチェックを受けるのがおすすめです。

 

最終更新日:2026年7月30日

 

こんにちは。
品川区JR大崎駅から徒歩4分、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室で事務を担当している篠宮です。

鏡を見ていて、ふと

「歯の根元が少し削れている気がする」

「前より歯ぐきとの境目に段差がある」

「冷たい水がキーンとしみるようになった」

と感じたことはありませんか。

こうした状態は、歯科では非う蝕性頸部欠損(ひうしょくせいけいぶけっそん)と呼ばれ、
いわゆる「むし歯ではないのに、歯の根元がすり減ってしまった状態」のことです。
くさび形にえぐれたように見えることから、「くさび状欠損」と呼ばれるタイプもあります。

世界の成人を対象にした研究をまとめた報告では、平均でおよそ半数(46.7%)に何らかの形で見られたとされており、決して珍しいものではありません。

今日は、歯の根元がすり減る原因と、そのままにしておいた場合のリスク、
そして当院で行っている治療・予防方法について、分かりやすくお話していきます。

 

歯の根元がすり減ると、まずどんな症状が出る?

歯の根元がすり減ると、見た目だけでなく、さまざまな症状が出てくることがあります。

 

冷たいものがしみる(知覚過敏)

歯のいちばん外側は、硬いエナメル質に守られています。
ところが、根元の部分はこのエナメル質が薄く、その内側にある象牙質(ぞうげしつ:刺激を神経に伝えやすい組織)がすぐ近くにあります。

すり減りが進んで象牙質が露出すると、

冷たい水や飲み物

冷たい風

甘いもの

などがしみる、いわゆる知覚過敏の症状が出やすくなります。

 

歯ブラシが当たると痛む

歯の根元がえぐれたような形になると、
歯ブラシの毛先がそこに直接当たり、
「ブラッシングのたびにピリッと痛い」「その部分だけ磨きたくなくなる」
といった状態に陥ることもあります。

そうすると、痛い部分だけ磨き残しが増え、歯周病やむし歯のリスクが上がるという、悪循環にもつながります。

 

段差や見た目が気になる

前歯や小臼歯など、口を開いたときに見える部分に段差ができると、

笑ったときに根元の色が濃く見える

かぶせ物との境目が目立つ

といった、見た目のストレスにつながることもあります。

時間が経つにつれて、段差は少しずつ大きくなっていく傾向があるため、
「最初は気にならなかったのに、いつの間にか深くなっていた」というケースも少なくありません。

歯の根元の段差を気にする人のイラスト 冷たい飲み物で歯がしみる様子のイラスト

 

なぜ「歯の根元だけ」すり減ってしまうのか?

歯の根元のすり減りは、1つの原因だけで起きるわけではなく、複数の要因が重なって起こると考えられています。

 

強いブラッシング・硬い歯ブラシ

力を入れすぎてゴシゴシ磨く

「しっかり磨きたい」と硬めの歯ブラシを選ぶ

研磨剤の多い歯磨き粉を長年使い続ける

こうした習慣があると、
歯と歯ぐきの境目に少しずつ“擦りキズ”が蓄積しやすくなります。

特に、利き手側の犬歯・小臼歯の外側(頬側)は、
力が入りやすく、すり減りが集中しやすいと言われています。

 

歯ぎしり・食いしばりなどの咬み合わせの負担

就寝中の歯ぎしりのイラスト

就寝中の歯ぎしりや、日中の無意識の食いしばりも、
歯の根元に大きな力をかける要因になります。

強い咬合力が加わると、
歯の付け根の部分に微小なヒビや応力が集中し、
その部分のエナメル質が欠けやすくなる、という考え方もあります。
(この説は現在も研究が続いている段階で、咬み合わせの力だけが原因と断定されているわけではありません)

 

酸性の飲食物・加齢などの影響

炭酸飲料や酸っぱい飲み物をよく飲む

胃酸逆流などで口の中が酸性に傾きやすい

といった場合、酸の影響で歯の表面が少し柔らかくなり(酸蝕・さんしょく)、
ブラッシングや咬む力の影響を受けやすくなります。

また、年齢とともに歯ぐきが下がり、根元が露出してくることも、
すり減りが目立ちやすくなる一因です。

 

放っておくとどうなる?

まず知っておいていただきたいのは、すり減って失われた歯質は自然には元に戻らないということです。

そのうえで、「しみるけど我慢できないほどではないし、様子を見ようかな」
と放置してしまうと、次のようなリスクが出てきます。

段差が深くなり、さらにしみやすくなる

歯ブラシが当たりづらくなり、その部分だけプラークが溜まりやすくなる

歯の根元からヒビが入ったり、欠けたりするリスクが上がる

見た目の変化が大きくなる(根元だけ色が違って見える など)

特に、歯ぎしりや食いしばりのある方は、進行が速いこともあるため、
「気づいたときに一度チェックしておく」ことが大切です。

 

歯の根元がすり減ってきたときの治療の選択肢

症状や段差の大きさによって、取れる対策は変わってきます。
当院では、次のような段階的な対応を行うことが多いです。

 

症状が軽い場合:コーティングとブラッシング指導

知覚過敏抑制効果のある薬剤を歯の表面に塗布する

露出した象牙質の表面をコーティングし、刺激が伝わりにくくする

歯ブラシの当て方や、歯磨き粉の選び方を一緒に見直す

軽度のうちであれば、こうした処置とセルフケアの見直しだけで、しみる症状の緩和が期待できる場合があります。

 

段差が大きい・しみが強い場合:レジンで根元をカバー

すり減った部分に、歯の色に近いレジン(プラスチックの詰め物)を接着する

段差をなだらかにして、刺激が直接伝わるのを防ぐ

見た目も自然に整えることが期待できる

レジン修復は、1本あたり1回の処置で終わることが多く、歯を削る量も最小限に抑えられます。
費用や適した方法は歯の状態によって変わりますので、受診の際にご相談ください。

 

かぶせ物との境目が大きく削れている場合

すでにかぶせ物(クラウン)が入っている歯では、

根元をレジンで補うだけで対応できる場合

かぶせ物を外して、新しい形に作り直したほうがよい場合

のどちらかを、その歯の状態や見た目の希望に合わせて判断していきます。

 

歯ぎしり・食いしばりが強い場合:マウスピースで負担を軽減

ナイトガード(マウスピース)のイラスト

就寝時に装着するナイトガード(マウスピース)で、咬みしめの力を分散

歯や顎関節への負担をやわらげ、これ以上すり減りが進まないようにする

「削れたところを治す」だけでなく、
これ以上ダメージを増やさないための対策も、とても重要です。

 

今日からできる予防のポイント

ご自宅で意識できることも、実はたくさんあります。

歯ブラシは「やわらかめ〜ふつう」を選ぶ

ペンを持つように軽く握り、「なでる」ように磨く

横方向に大きくゴシゴシではなく、小刻みに動かす

研磨剤が少なめの歯磨き粉や、知覚過敏用の歯磨き粉を活用する

日中の「無意識の食いしばり」に気づいたら、そっと力を抜く

神奈川県歯科医師会の解説では、ブラッシングの力の目安は150〜200g程度、「毛先が広がらない程度の軽い力」とされています。
キッチンスケールに歯ブラシを押し当ててみると、思ったより軽い力で十分なことが実感できます。

どれか一つからでも構いません。
少しずつ積み重ねることで、これ以上のすり減りを防ぐ力になっていきます。

正しいブラッシングを身につける近道は、歯科医院で自分に合った磨き方を教わることです。
当院でもブラッシング指導を行っています。詳しくは予防歯科のページをご覧ください。

 

歯の根元が気になったら、一度ご相談ください

受診の目安として、次のような場合は一度チェックを受けることをおすすめします。

歯と歯ぐきの境目に、目で見て分かる段差・へこみがある

冷たいものがしみる状態が続いている、または強くなってきた

歯ブラシが当たると痛い場所がある

家族に歯ぎしりを指摘されたことがある

 

実は、私自身も歯の根元に小さな段差があり、
歯科医師やスタッフにブラッシングの当て方を見直してもらったり、
知覚過敏ケアのアイテムを教えてもらったりしながら、日々気をつけています。

鏡を見て、

「この削れ、放っておいて大丈夫かな?」

「治療したほうがいいのか、まだ様子を見ていいのか分からない」

と不安になることがあれば、
それはまさに歯医者さんに相談してよいタイミングです。

大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室では、
歯の根元のすり減りや知覚過敏についても、レントゲンや口腔内写真で状態を一緒に確認しながら、

今すぐ治療すべきか

予防中心で経過を見てよいか

生活習慣として何を変えると良いか

をていねいにお伝えしています。

「歯の根元が気になってきたな」と感じたら、どうぞ一度ご相談ください。
これから先の10年、20年を見据えて歯を守るために、いま何ができるかを一緒に考えていきましょう。

 

よくある質問

Q.歯の根元の削れ・すり減りは自然に治りますか?
A.すり減って失われた歯質が自然に元へ戻ることはありません。ただし、軽度であればブラッシングの見直しや知覚過敏を抑える処置で、進行を抑えたり症状をやわらげたりすることが期待できます。

Q.むし歯とはどう違うのですか?
A.むし歯は細菌の出す酸で歯が溶ける病気ですが、歯の根元のすり減り(非う蝕性頸部欠損)はむし歯ではありません。ただし、削れた部分に汚れが溜まるとむし歯や歯周病のリスクが上がりますし、見た目だけでむし歯と区別するのは難しいため、歯科医院での確認をおすすめします。

Q.知覚過敏用の歯磨き粉だけで様子を見てもいいですか?
A.しみる症状が軽い場合、知覚過敏用の歯磨き粉で症状の緩和が期待できる場合があります。ただし、目に見える段差がある場合や、しみる症状が続く・強くなる場合は、他の原因(むし歯・歯のヒビなど)が隠れていることもあるため、一度受診してご確認ください。

Q.歯ぎしりの自覚がないのに、根元が削れるのはなぜですか?
A.歯の根元のすり減りは、ブラッシングの力・歯ブラシの硬さ・酸性の飲食物・加齢による歯ぐきの下がりなど、複数の要因が重なって起こると考えられています。歯ぎしりの自覚がなくても、他の要因で少しずつ進むことがあります(就寝中の歯ぎしりは自分では気づきにくいものです)。

Q.治療した後、また削れることはありますか?
A.レジンで修復しても、強いブラッシングや食いしばりなど元の原因が残っていると、再び削れたり詰め物が外れたりすることがあります。修復とあわせて、磨き方の見直しやナイトガードなど、原因への対策をセットで行うことが大切です。

 

まとめ

歯の根元のすり減り(非う蝕性頸部欠損)は成人のおよそ半数に見られる身近な状態

原因はブラッシング圧・咬み合わせの力・酸性飲食物・加齢など複数の要因の重なり

失われた歯質は自然には戻らないが、軽度なら進行を抑える対策ができる

段差が大きい場合はレジン修復など、状態に応じた治療の選択肢がある

しみる・段差が気になったら、深くなる前に歯科医院でチェックを

 

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監修医・医院情報

監修医:小林 伸(医療法人KDS 理事長/日本臨床歯周病学会 認定医/ITIインプラントスペシャリスト/日本顎咬合学会 認定医)
専門:フルアーチインプラント、審美修復、歯周形成外科
所属:日本臨床歯周病学会、日本顎咬合学会、ITIインプラントメンバー ほか

Teixeira DNR ほか「Prevalence of noncarious cervical lesions among adults: A systematic review」Journal of Dentistry(2020):https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0300571220300191

公益社団法人神奈川県歯科医師会「知覚過敏への歯科医師の対応」:https://www.dent-kng.or.jp/colum/basic/13970/

公益社団法人神奈川県歯科医師会「歯が溶ける!?「酸蝕症」とは?」:https://www.dent-kng.or.jp/colum/basic/1852/

Nascimento MM ほか「Abfraction lesions: etiology, diagnosis, and treatment options」Clinical, Cosmetic and Investigational Dentistry(2016):https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC4861607/

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。治療の効果には個人差があり、記載した内容はすべての方に同じ結果をお約束するものではありません。気になる症状や治療については、歯科医院での診察をおすすめします。



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転載・引用をご希望の場合は、必ず当院までご相談ください。
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸


医療法人社団KDS 大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室:https://oval-dc.net/

〒141-0022 東京都品川区東五反田2-16-1 ザ・パークタワー1F
電話:03-5739-1625

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