IQOS(加熱式タバコ)は歯ぐきにやさしい?歯周病との関係を解説|大崎の歯医者
こんにちは。品川区JR大崎駅から徒歩4分、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室で管理栄養士・歯科助手を務めている若澤です。
突然ですが、こんなふうに思っていませんか。
「紙巻きからIQOSに変えたから、歯や歯ぐきはもう大丈夫」
「煙が出ないんだから、体にもやさしいはず」
診療室でも、「加熱式に変えたんですけど、大丈夫ですよね?」というご質問をよくいただきます。たしかにIQOSは煙やにおいが少なく、紙巻きタバコよりクリーンな印象がありますよね。
ただ、結論からお伝えすると、「煙が見えない」ことと「歯ぐきに影響がない」ことは、別の話です。この記事では、IQOSをはじめとする加熱式タバコと歯周病の関係、電子タバコとの違い、そして吸う方こそ大切にしてほしいお口のケアについて、やさしく解説します。
IQOS(加熱式タバコ)とは?煙が出ない=安全ではありません
IQOSは、タバコ葉を燃やさずに加熱して、エアロゾル(微細な粒子を含む霧状の吸入物)を吸い込む加熱式タバコです。火を使わないため煙や灰が出ず、においも少ないのが特徴です。
ただし、加熱しているのは本物のタバコ葉です。そのため、紙巻きタバコと同じように、ニコチンをはじめとするさまざまな有害物質が含まれています。紙巻きタバコと比べて一部の有害物質が少ないという報告もありますが、健康への長期的な影響はまだ研究の途上であり、「安全」と言い切れる段階ではない、というのが現在の位置づけです。
歯ぐきに何が起こる?ニコチンと歯周病の関係
結論からいうと、IQOSが歯ぐきに影響すると考えられる主な理由のひとつは、ニコチンを含む有害物質の影響です。
ニコチンには血管を収縮させる働きがあり、歯ぐきの血流が悪くなると、酸素や栄養が行き届きにくくなります。また、喫煙はお口の中の唾液分泌の低下にもつながりやすく、唾液による自浄作用が落ちると、プラーク(歯垢)がつきやすい環境になります。
そして、もうひとつ知っておいてほしいことがあります。血流が悪くなると、歯周病の代表的なサインである歯ぐきの腫れや出血が、かえって目立ちにくくなることがあるのです。つまり、症状が表に出ないまま、歯周病が静かに進行してしまうことがある——これが、喫煙される方の歯周病で注意したい点です。
このほか、口臭や、歯への着色(紙巻きほどではないものの、着色が起こることはあります)も、加熱式タバコで気をつけたいポイントです。
電子タバコ(VAPE)とは何が違う?
混同されやすいのですが、IQOSなどの加熱式タバコと、電子タバコ(VAPE)は別物です。
加熱式タバコ(IQOSなど):本物のタバコ葉を加熱して吸う。ニコチンを含む
電子タバコ(VAPE):リキッド(液体)を加熱して吸う。日本国内で一般に販売されるリキッドは、ニコチンを含まないものが基本です(個人輸入などでニコチン入り製品が使われる場合もあります)
つまりIQOSは、見た目は新しくても「タバコ」そのもの。歯ぐきへの影響という観点では、紙巻きタバコと同じ注意が必要だと考えておくのが安全です。
IQOSに変えるメリットはないの?
公平にお伝えすると、煙や灰が出ない、においが少ない、周囲へのたばこの煙が少ないなど、生活面でのメリットはあります。紙巻きタバコからの切り替えを、ご自身の工夫として選ばれる方がいるのも自然なことです。
ただ、「害が減ったかもしれない」ことと「害がなくなった」ことは違います。管理栄養士の視点からひとつ添えると、ニコチンは味覚や食欲にも影響するといわれており、お口の健康は毎日の食事の楽しみとも深くつながっています。
IQOSに変えても、歯周病ケアは必要です
ここまでお読みいただいた方には、もう伝わっていると思います。IQOSに変えても、歯周病のリスクがなくなるわけではありません。
加えて注意したいのは、「加熱式に変えたから安心」と思って、歯科から足が遠のいてしまうことです。先ほどお伝えしたとおり、喫煙される方の歯周病はサインが目立ちにくいため、ご自身で気づいたときには進行していた、ということが起こりやすいのです。
当院では、喫煙される方・加熱式タバコをお使いの方に、次のようなケアを行っています。
歯ぐきの検査
歯周ポケットの深さや出血の有無を調べ、歯周病の兆候がないかを確認します
クリーニング
歯石やバイオフィルム(細菌のかたまり)を専門的に除去します
着色の確認
着色の状態を確認し、クリーニングで対応できる範囲をご案内します
また、禁煙を考え始めた方には、無理のない範囲でのご相談も承っています。責めるためではなく、今のお口の状態に合わせて、できる範囲のケアを一緒に考えるためのご相談です。
よくある質問
まとめ:「煙が見えない」と「歯ぐきに影響がない」は別の話
IQOSなどの加熱式タバコは、煙やにおいが少ない一方で、ニコチンなどの有害物質を含み、歯ぐきの血流低下や唾液の減少を通じて、歯周病のリスクに関わるといわれています。しかも、喫煙される方の歯周病はサインが目立ちにくく、静かに進行しやすいのが特徴です。
IQOSに変えても、変えていなくても、歯周病の早期発見や進行予防につなげるためには、定期的なチェックとクリーニングが大切です。
「こんなこと聞いてもいいのかな」と思うような小さな疑問でも大丈夫です。品川区・大崎エリアで、タバコと歯ぐきのこと、歯周病が気になる方は、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室までお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
文:若澤(わかざわ)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 管理栄養士・歯科助手
管理栄養士として食べ物と体の関係を、歯科助手として毎日の診療の現場で見るお口の健康を、両方の視点から学び続けています。生活習慣とお口の健康のつながりについて、診療室で見てきたことをもとにお伝えしています。
この記事の監修者
小林 伸(こばやし しん)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長・院長
日本歯科大学生命歯学部を卒業後、日本歯科大学付属病院での臨床研修を修了。2016年に医療法人社団KDSを設立し、理事長に就任。
所属・認定・資格等:ITI公認インプラントスペシャリスト、日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医、インビザライン・ドクター、介護支援専門員
本記事の歯・歯ぐき・歯周病に関する医療的な記述は、歯科医師である小林が監修しています。
参考文献
厚生労働省 e-ヘルスネット(喫煙・加熱式タバコと健康に関する解説)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/
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