スポーツドリンクで虫歯・酸蝕症に?管理栄養士が教える歯を守る飲み方|大崎の歯医者
夏の水分補給に欠かせないスポーツドリンク。
実は糖分や酸で虫歯・酸蝕症のリスクが高まることも。
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室の管理栄養士・歯科助手が、お子さんの「だらだら飲み」対策や歯を守る飲み方を、栄養と歯科の両面からやさしく解説します。
みなさん、こんにちは。
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室で管理栄養士・歯科助手をしている山本です。
春も終わり、日中は汗ばむ日が多くなってきました。
最近は気温が高く、運動をしていなくても汗をかく場面が増えています。
通勤や通学、外での作業、室内での熱中症対策として、スポーツドリンクを飲む方も多いのではないでしょうか。
スポーツドリンクは、水分や塩分を効率よく補給できる便利な飲み物です。
ただ、実は飲み方によっては、歯に負担をかけてしまっている場合があることをご存じですか。
私は管理栄養士として「飲み物に含まれる糖分や塩分」を、歯科助手として「毎日の診療で見るお口の状態」を、どちらも近くで見てきました。
この記事では、その両方の視点から、スポーツドリンクと虫歯・酸蝕症(さんしょくしょう)の関係、そして歯を守りながら上手に取り入れる飲み方をやさしく解説します。
スポーツドリンクのメリット
スポーツドリンクには、こんな特長があります。
汗で失われるナトリウム(塩分)などを補える
糖分が入っているためエネルギー補給にもなる
運動時や大量に汗をかいた時に役立つ
暑い季節や運動時には、心強い味方になる飲み物です。
一方で、糖分や酸を含むものが多いため、歯の健康という面では少し注意が必要です。
スポーツドリンクと虫歯の関係
製品によって異なりますが、代表的なスポーツドリンクでは500mLあたりおよそ23〜31g程度の糖分(炭水化物)が含まれています。
角砂糖(1個約3〜4g)に置きかえると、だいたい6〜10個分くらいになります。
正確な量は、商品パッケージの栄養成分表示でご確認ください。
500mLあたり約23〜31g前後(製品により異なります)
1本飲むだけでも糖分は多め
炭酸飲料や乳酸菌飲料ほど多くはありませんが、スポーツドリンクには糖分が含まれているものが多く、口の中に糖が長時間残ることで虫歯のリスクが高まることがあります。
虫歯菌は糖をエサにして酸を作り出します。
この酸によって歯の表面が少しずつ溶かされ、虫歯が進行していきます。
特に注意したいのが、お子さんの「だらだら飲み」です。
遊びながら少しずつ飲み続けたり、寝る前に飲んでしまうと、口の中に糖分が長時間残りやすくなります。
口の中が酸性の状態になりやすく、歯への負担が大きくなるため注意が必要です。
乳歯は大人の歯よりやわらかいため、虫歯が進行しやすい特徴があります。
だからこそ、飲み方を少し工夫するだけで、お子さんの歯はしっかり守ってあげられます。
酸蝕症(さんしょくしょう)とは?虫歯との違い
スポーツドリンクには酸性のものも多く、頻繁に飲むことで歯の表面が溶けやすくなる「酸蝕症」につながることがあります。
酸蝕症は、酸によって歯が少しずつ溶けてしまう状態のことです。
虫歯との違いは、酸の出どころにあります。
虫歯 → 虫歯菌が糖を分解して酸を作る
酸蝕症 → 飲み物や食べ物に含まれる酸そのものが歯を溶かす
酸蝕症が進行すると、次のような変化が現れることがあります。
歯がしみやすくなる
歯の表面にツヤがなくなる
歯が薄く欠けやすくなる
前歯の先が透けて見える
歯を守るおすすめの飲み方
スポーツドリンクは、暑い季節の水分補給に役立つ飲み物です。
一方で、糖分や酸を含むものも多いため、飲み方によっては歯に負担がかかってしまう場合があります。
大切なのは、必要な場面で上手に取り入れることです。
歯への負担を減らすためのおすすめの飲み方をご紹介します。
基本は水やお茶を中心にする
スポーツドリンクは便利な飲み物ですが、日常的な水分補給として毎回飲む必要があるわけではありません。
普段の生活で軽く汗をかく程度であれば、水やお茶でも十分な場合が多くあります。
普段の水分補給を水やお茶中心にすることで、糖分の摂りすぎを防ぎやすくなります。
唾液には、口の中の汚れを洗い流したり、酸性になった口の中を元に戻そうとする働きがあります。
水分不足になると唾液の量も減りやすくなるため、こまめな水分補給はお口の健康にとっても大切です。
小さなお子さんや高齢の方は脱水に気づきにくいこともあり、水分補給がとても大切になります。
スポーツドリンクは必要な場面で取り入れる
次のような場面では、水分だけでなく塩分補給も大切になるため、スポーツドリンクが役立つことがあります。
屋外で長時間過ごす日
部活動やスポーツのあと
高齢の方が食欲低下している時
大量に汗をかくと、水分だけでなく塩分(ナトリウム)も失われます。
水だけを大量に飲むと体内のバランスが崩れてしまうこともあるため、状況によってはスポーツドリンクが役立ちます。
ただし、日常的に何本も飲む習慣が続くと糖分の摂りすぎにつながる場合もあるため、注意が必要です。
なお、発熱や下痢で脱水が強いときは、スポーツドリンクよりも経口補水液が向いている場合があります。
経口補水液はスポーツドリンクとは組成が異なり、水分と電解質をより効率よく補えるよう設計された飲み物です。
脱水症状が強いときや判断に迷うときは、自己判断で飲み物を選ぶ前に、医療機関にご相談ください。
「だらだら飲み」を避ける
少しずつ長時間飲み続けると、口の中が酸性の状態になりやすく、虫歯や酸蝕症のリスクが高まります。
長時間かけて少しずつ飲むよりも、時間を決めて飲む方が、口の中が酸性になる時間を減らしやすいとされています。
口の中には、酸によって溶けかけた歯を元に戻そうとする「再石灰化」という働きがあります。
しかし、だらだら飲みを続けると口の中が酸性のままになり、歯が回復する時間が少なくなってしまいます。
特に寝る前は唾液の分泌が減るため、口の中に糖分や酸が残りやすくなります。
寝る前は、お茶や水に切り替えてあげると安心です。
小さなお子さんの場合は、スポーツドリンクを哺乳瓶やマグに入れたまま長時間飲み続けないよう注意しましょう。
飲んだ後は水を飲む・うがいをする
外出先では難しい場合もありますが、数口でも水を飲むだけで、口の中に残った糖分や酸を流しやすくなります。
飲んだ直後の歯磨きは少し待つ
酸性の飲み物を飲んだ直後は、歯の表面が一時的にやわらかくなっていることがあります。
気になる場合は、少し時間を空けてから歯磨きをすると、歯への負担を減らしやすくなります。
とはいえ、やわらかい毛の歯ブラシでやさしく磨く分には、神経質になりすぎる必要はありません。
まずは飲んだ後に水を飲む・うがいをすることを優先しましょう。
よくある質問
まとめ
熱中症対策として、こまめな水分補給はとても大切です。
スポーツドリンクは水分や塩分を効率よく補給できる便利な飲み物ですが、糖分や酸を含むものも多いため、飲み方によっては虫歯や酸蝕症のリスクにつながることがあります。
特に、長時間の「だらだら飲み」は歯への負担が大きくなりやすいため注意が必要です。
大切なのは、「飲まないこと」ではなく、必要な場面で上手に取り入れることです。
普段は水やお茶を中心にしながら、運動時や大量に汗をかいた時など、状況に応じてスポーツドリンクを活用していきましょう。
飲み物を選ぶときには、パッケージの栄養成分表示を見る習慣をつけることもおすすめです。
暑い季節は、熱中症対策を優先することもとても大切です。
我慢するのではなく、「飲み方を工夫する」ことが、体と歯の健康を守るポイントになります。
暑い夏を元気に過ごすためにも、毎日の水分補給を少し意識してみてくださいね。
歯がしみる、お子さんの飲み物の習慣が気になるなど、気になる症状がある方は、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室までお気軽にご相談ください。
文:山本(やまもと)/大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 管理栄養士・歯科助手
管理栄養士として「食べ物・飲み物と体の関係」を、歯科助手として「毎日の診療の現場で見るお口の健康」を、両方の視点から学び続けています。
スポーツドリンクのような身近な飲み物に含まれる糖分・酸と歯の関わりについて、栄養と歯科、それぞれの現場で見てきたことをもとにお伝えしています。
監修:大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 院長 小林伸(こばやし しん)
日本歯科大学生命歯学部を卒業後、日本歯科大学付属病院での臨床研修を修了。
2016年に医療法人社団KDSを設立し、理事長に就任。
所属・認定・資格等:ITI公認インプラントスペシャリスト、日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医、インビザライン・ドクター、介護支援専門員
本記事の歯・顎・治療に関する医療的な記述は、歯科医師である小林が監修しています。
※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。
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大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸
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