動物もむし歯になるの?人だけがむし歯になりやすい理由を歯科医師が解説|大崎の歯医者

   

Q.動物もむし歯になるの?どうして人はむし歯になりやすいの?
A.動物もむし歯になることはありますが、人と比べるととても少ないといわれています。その差を生んでいるのは、糖分を少しずつ何度もとる人特有の生活習慣と、動物それぞれの食べ方や歯のつくりの違いです。だからこそ、人には人に合った毎日のケアと定期検診が大切になります。気になる症状があれば、早めに歯科でご相談を。

みなさん、こんにちは。大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室で歯科医師をしている秋野(あきの)です。

「犬や猫がむし歯になった」「野生のライオンがむし歯で困っている」。そんな話は、あまり耳にしないのではないでしょうか。
動物だって毎日食事をして、歯みがきもしていないのに、どうしてむし歯にならないのか。不思議に思ったことはありませんか。

私は歯科医師として、毎日たくさんの患者さんのお口を診ています。その中で「人はどうしてこんなにむし歯になりやすいのだろう」と考えることがよくあります。この記事では、動物とむし歯の関係をきっかけに、むし歯がそもそもどうやって起こるのか、 tacticsそして「人だからこそむし歯なりやすい」その理由を、やさしく解説します。読み終わるころには、毎日のケアと定期検診がなぜ大切なのか、すっきり納得していただけるはずです。

 

動物は本当にむし歯にならないの?

結論からお伝えすると、動物もむし歯になることはあります。ただし、人と比べると、その頻度はとても少ないといわれています。

たとえば犬は、人と違ってむし歯になりにくい動物として知られています。猫は肉を主に食べる肉食動物で、犬とはまた歯のつくりが異なります。こうした違いには、それぞれの動物の食生活や歯の特徴が深く関わっています。

そして、もうひとつ大切なポイントがあります。神奈川県歯科医師会の解説によると、野生の動物は自然のエサを食べている限り、むし歯にはならないとされています。一方で、動物園で飼われている野生動物がむし歯になることがあり、その原因は、人から与えられる甘いお菓子などのエサだと説明されています。お菓子ばかり食べていると栄養のバランスが崩れ、歯ぐきがはれたり、歯の根元が茶色くなったりすることもあるそうです。これは、私たち人間とよく似ていますよね。

つまり「動物はむし歯にならない」のではなく、「自然のままの食生活では、むし歯になりにくい」ということなのです。逆にいえば、甘いものを日常的に食べる環境になれば、動物でもむし歯のリスクは高まります。ここに、人がむし歯になりやすい理由を考えるヒントがあります。

 

そもそも、むし歯はどうやって起こるの?

人と動物の違いを考える前に、まずは「むし歯がどうやって起こるのか」を知っておきましょう。仕組みがわかると、人がむし歯になりやすい理由もすっと理解できます。

日本学校保健会の解説では、むし歯は、歯の表面についた細菌のかたまり(プラーク、歯垢ともいいます)が、糖分から酸をつくり、歯の表面を溶かしてしまう病気とされています。厚生労働省 e-ヘルスネットでも、むし歯は、口の中の細菌が糖質をもとに酸をつくり、その酸によって歯が溶ける(脱灰する)ことで生じると説明されています。

もう少しくわしく見てみましょう。むし歯の代表的な原因菌はミュータンス菌と呼ばれます。日本歯科医師会の解説によると、ミュータンス菌は砂糖などの糖質をエサにして歯垢の中で増え、グルカンというネバネバした物質をつくり出します。このネバネバが歯の表面にたまることでプラークができ、その中で菌が酸をつくり、歯のエナメル質が溶けていくのです。

ここでカギになるのが「酸の強さ」です。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、歯の表面を覆うエナメル質は、pH5.5より低くなると急速に溶け始めるとされ、このpHを臨界pHと呼びます。糖分をとると、口の中はこの臨界pHを下回るほど酸性にかたむきます。

ただ、私たちの口の中には心強い味方がいます。唾液です。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、唾液には糖質や酸を洗い流し、酸を中和してpHをもとに戻す力があり、さらにカルシウムやリン酸を含むため、少し溶けた歯の表面を修復することができます。これを歯の再石灰化といいます。

つまり、お口の中では「酸で溶かされる(脱灰)」と「唾液で修復される(再石灰化)」が、いつもせめぎ合っています。このバランスが保たれていればむし歯にはなりません。けれども、厚生労働省 e-ヘルスネットによると、糖分を含む間食を頻繁にとり、酸性になる回数が繰り返されると、再石灰化が脱灰に追いつけなくなり、ついに歯が欠け始めてしまいます。これがむし歯の始まりです。

 

人がむし歯になりやすい、本当の理由

むし歯の仕組みがわかったところで、いよいよ本題です。なぜ人は、動物よりもむし歯になりやすいのでしょうか。理由は大きく二つあります。

 

理由その1:糖分を「少しずつ」「何度も」とる習慣

最大の理由は、人特有の食生活にあります。私たちはお菓子、ジュース、菓子パンなど、糖分を多く含む食べ物や飲み物を、毎日のように口にしています。しかも、食事と食事の間に間食をしたり、甘い飲み物を少しずつ飲んだりと、糖分にふれる回数がとても多いのが特徴です。

ここで思い出してほしいのが、先ほどの「臨界pH」の話です。糖分をとるたびに、口の中は酸性にかたむき、歯が溶けやすい時間が生まれます。少しずつ何度も糖分をとると、唾液が中性に戻す前に、また酸性になってしまいます。日本学校保健会の解説でも、糖質を含む食べ物を頻回に不規則にとるとむし歯は増加するとされ、間食は一定の時間をおいて規則的にとることが大切だと説明されています。

大切なのは、甘いものの「量」だけではありません。厚生労働省 e-ヘルスネットによると、むし歯予防には、糖分の総量を減らすことに加えて、その摂取回数(頻度)を減らすことが効果的だとされています。だらだらと食べ続ける習慣こそ、歯にとって負担が大きいのです。

一方、多くの野生動物は、糖分をひんぱんに口にすることがなく、食事の回数も限られています。甘いお菓子をおやつに食べることもありません。そのため、むし歯菌が酸をつくる場面そのものが少なく、活動しにくいと考えられます。先ほどの神奈川県歯科医師会の解説どおり、自然のエサを食べている限りむし歯になりにくいのは、こうした食生活の違いが背景にあるのです。

 

理由その2:歯の使い方や生態の違い

もうひとつは、歯そのものの使い方や生態の違いです。

動物の中には、長い期間ずっと同じ歯を使い続けない種もいます。たとえば神奈川県歯科医師会の解説によると、ゾウの歯は擦り減って使えなくなると、奥から交代 of 歯が水平に出てくるそうです。また、ネコ科の動物は肉を食いちぎって丸飲みするため、人のように食べ物を細かくかみ砕いて長く口の中にとどめておく、という食べ方とは異なります。

歯の本数や形も、動物によってさまざまです。日本歯科医師会の解説によると、犬は合計42本、猫は合計30本の歯を持ち、それぞれの食べ物に合った歯のつくりをしています。食べるものも、食べ方も、歯のつくりも人とは違う。だからこそ、人と同じようにはむし歯になりにくいのです。

こうして見てくると、むし歯は「人だからこそ起こりやすい病気」だということがわかります。豊かな食文化の中で、甘いものを日常的に、しかも少しずつ何度も楽しめること。それ自体はすばらしいことですが、その分だけ、歯はむし歯のリスクと隣り合わせになっているのです。

 

人だからこそ、毎日のケアと定期検診を

動物はむし歯になりにくく、人はむし歯になりやすい。その差を生んでいるのは、糖分を少しずつ何度もとる生活習慣と、人特有の食べ方でした。

だからこそ、人には人に合ったむし歯予防が必要です。ポイントは、おおまかに三つです。

糖分をとる回数を見直すこと
甘いものを完全にやめる必要はありません。だらだら食べ・だらだら飲みを避け、時間を決めて楽しむだけでも、歯が酸にさらされる時間をぐっと減らせます。

毎日の歯みがき
歯みがきは、歯の表面についたプラーク(細菌のかたまり)を取り除くための基本のケアです。ただし、厚生労働省 e-ヘルスネットによると、セルフケアだけでプラークを毎日完全に取り除くことは、現実にはとても難しいとされています。歯みがきだけにすべてを任せきりにせず、ほかの予防法と組み合わせることが大切です。

歯科医院での定期検診
ご自分では取りきれない汚れを専門的にお掃除し、初期のむし歯を早めに見つけることができます。厚生労働省 e-ヘルスネットや関係機関の解説によると、ごく初期のむし歯であれば、削らずに再石灰化を促して様子を見られる場合もあるとされています。早く見つけるほど、歯への負担の少ない対応がしやすくなるのです。


むし歯は、人だからこそ起こりやすい病気です。けれども裏を返せば、毎日のケアと定期的なチェックで、しっかり付き合っていける病気でもあります。

 

よくある質問

Q.犬や猫もむし歯になりますか?
A.むし歯になることはありますが、人と比べるととても少ないといわれています。犬は人よりむし歯になりにくい動物として知られています。ただし、甘いお菓子などを与え続けると、動物でもむし歯や歯ぐきのトラブルのリスクが高まります。気になることがあれば、動物の歯は動物病院にご相談くださいね。
Q.甘いものを食べなければ、むし歯にはなりませんか?
A.糖分はむし歯の大きな要因なので、とる回数を減らすことはとても効果的です。ただ、糖分を完全に避けるのは現実的ではありませんし、厚生労働省の解説でも、砂糖を控えるだけでは予防として十分ではなく、歯みがきや定期検診と組み合わせることが大切だとされています。「量」と「回数」を意識しながら、上手に付き合っていきましょう。
Q.歯みがきをしっかりしていれば、定期検診は受けなくても大丈夫ですか?
A.毎日の歯みがきはとても大切ですが、それだけですべての汚れを完全に取り除くのは難しいといわれています。ご自分では気づきにくい初期のむし歯を早めに見つけるためにも、定期検診をあわせて受けていただくことをおすすめします。

 

まとめ:むし歯は「人だからこそ」気をつけたい病気

動物もむし歯になることはありますが、人と比べるととても少ないといわれています。その差を生んでいるのは、糖分を少しずつ何度もとる人特有の生活習慣と、動物それぞれの食べ方や歯のつくりの違いでした。

むし歯は、お口の細菌が糖をエサに酸をつくり、歯を溶かすことで起こります。甘いものを日常的に、しかも何度も楽しめる人の生活は、その分だけむし歯のリスクと隣り合わせです。だからこそ、糖分をとる回数を見直し、毎日の歯みがきを続け、歯科医院での定期検診を受けること。この三つが、人にとってのむし歯予防の土台になります。

「動物はむし歯にならないのに、どうして人は」という素朴な疑問の答えは、私たちの毎日の暮らしの中にありました。今日から少しだけ、甘いものとの付き合い方を見直してみませんか。

品川区・大崎エリアで、しばらく歯科医院に行けていない方、ご自身やご家族のお口の健康が気になる方は、大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室までお気軽にご相談ください。初診のご予約はネットから承っています(初診WEB予約 https://oval-dc.net/reservation)。一緒に、人だからこそ大切なお口の健康を守っていきましょう。

 

この記事を書いた人

文:秋野(あきの)/大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室
歯科医師
日々の診療を通じて、患者さん一人ひとりのお口の状態とていねいに向き合っています。むし歯や歯周病の治療だけでなく、その背景にある生活習慣も含め、毎日の暮らしから始められる予防の大切さをお伝えしています。

 

この記事の監修者

小林 伸(こばやし しん)
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長・院長
日本歯科大学生命歯学部を卒業後、日本歯科大学付属病院での臨床研修を修了。2016年に医療法人社団KDSを設立し、理事長に就任。
所属・認定・資格等:ITI公認インプラントスペシャリスト、日本臨床歯周病学会 歯周病認定医、日本顎咬合学会 咬み合わせ認定医、インビザライン・ドクター、介護支援専門員
本記事の歯・お口・治療に関する医療的な記述は、歯科医師である小林が監修しています。

参考文献

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。気になる症状や治療については、歯科医院での診察をおすすめします。



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大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸


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