歯科の麻酔と偶発症
みなさま、こんにちは。品川区 大崎・五反田の歯科治療なら大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室の歯科医の横山です。
前回のブログで私は歯科で使用する麻酔について取り上げました。今回はそれに関連した偶発症についてです。偶発症とは周術期(歯科治療の前・治療中・後)に、循環系・呼吸系・中枢神経系などの系統に意図しない異常が生じ、全身的に危機的な症状を惹起した状態を示します。症状は多彩で,重症度も軽微なものから心停止,死亡など重篤な状態まで様々です。過去には虫歯の治療で当時2歳の女児が死亡した事例もあります。その女児の死亡原因は局所麻酔薬による中毒であったとのことですが、今回は歯の治療で使う局所麻酔薬と全身的偶発症について、その概要について記します。
局所麻酔薬による全身的偶発症には以下の4つがあります。
- 神経性ショック
- 過換気症候群
- 局所麻酔薬中毒
- 局所麻酔薬アレルギー
1.神経性ショック(疼痛性ショック、心因性ショック)
歯科診療中の全身的偶発症のうち、もっとも頻度の高いものです。精神的な不安や緊張状態にある中で、強い痛みが加わることにより「血管迷走神経反射」(三又神経から伝わる痛み刺激が副交感神経である迷走神経に伝わる神経反射)が起こり、心拍数、血圧が減少することによって気分不良や意識消失などが起こる偶発症です。症状を列記すると①顔面蒼白、冷や汗、周囲への無関心(反応が鈍くなる)、四肢の無力状態、嘔気②血圧低下、③意識消失です。意識消失が起こることはまれで、たいていの場合、気分不良や嘔気などで収まることが多く、横になって酸素を投与し、ゆっくりしていれば回復します。
2.過換気症候群
40歳以下の女性に多く、きっかけは神経性ショックと似ており、概度の不安や緊張、恐怖などで過換気を発症します。症状は過呼吸以外に①末梢神経症状:口唇周囲・手足の知覚異常やしびれ感、②筋肉症状:手足の硬直、けいれん、③心血管系症状:頻脈、不整脈、胸が苦しい、胸痛、④消化器症状:腹部膨満、腹痛などです。対処としては、とにかくゆっくりと呼吸することとこれが命に関わるものではないことを理解させることです。
3.局所麻酔薬中毒
冒頭挙げた事例の中毒は局所麻酔薬の血中濃度が急激に高くなると発症する偶発症です。症状は①興奮、多弁、めまい、頭痛、耳鳴り、顔面紅潮、悪心、嘔吐、②血圧上昇、頻脈、頻呼吸、③顔面や四肢末端の痙攣、振戦から全身症 へ移行、未期になると④意識消失、⑤血圧低下、絵脈、呼吸の停止。①の場合はたいてい酸素投与と安静で事なきを得ますが、②や③になると一段階ギアを上げる必要があります。つまり静脈路の確保と鎮静薬の投与です。それができなくても、この時点で救急車はコールします。
4.局所麻酔薬アレルギー(I型アレルギー)
アレルギーは急激な速度で重篤な症状を呈するものから、ゆっくりと症状が出現する遅発性のものまでありますが、やはりⅠ型のアナフィラキシーが命に係わるアレルギーとして知られ、即時対応が望まれます。症状は①皮膚症状:掻痒感、紅斑および顔面から胸部にかけての蕁麻疹、血管浮腫など、②消化器症状:嘔気、嘔吐、腹痛、大便失禁、③呼吸器症状:胸部圧迫感、胸痛、気管支痙筆、呼吸困難、喉頭浮腫、気道閉塞、①循環器症状:顔面鴦白、動体、頻脈、血圧低下、不整脈、心停止など。歯科医院で行うべき対応は何はさておき救急車の要請です。
医療に携わっていれば、想定していない突発的な偶発症や合併症に遭遇する可能性があることは避けて通れない現実です。大切なことは迅速な対応力を担うことです。今回のブログを書くにあたり再度医療に携わる者として身の引き締まる思いです。
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