甘いものやガムで歯がキーンとしみる|知覚過敏の原因・見分け方と受診の目安

      2026/08/03

Q.ガムや甘いものを食べると歯がキーンとしみるのはなぜですか?
A.むし歯がないのに歯の表面の内側(象牙質)が刺激にさらされ、知覚過敏が起きている可能性があります。象牙質が露出すると、冷たいものや甘いものが刺激になって一瞬キーンとしみることがあります。ただし、甘いものでしみるときはむし歯やその再発が原因のこともあります。自己判断せず、続く・強くなる場合は歯科で原因を確かめてもらうと安心です。

 

甘いもの・ガムで歯がキーンとしみる主な原因

甘いものやガムで歯が一瞬キーンとしみる場合、大きく分けて2つの原因が考えられます。

1. 知覚過敏(象牙質が刺激にさらされている)
歯の表面はふだんエナメル質という硬い層で守られていますが、その内側の象牙質(ぞうげしつ)が露出すると、冷たいものや甘いものが刺激になってしみることがあります。これを象牙質知覚過敏症(知覚過敏)と呼びます。むし歯などの明らかな原因がないのに、刺激を受けたときだけ一過性にしみる・痛むのが特徴です。

2. むし歯やその再発が原因のこともある
甘いものでしみるときは、むし歯が進んでいたり、治療した歯が再びむし歯になっていたりすることもあります。知覚過敏の痛みは刺激を受けた瞬間だけで、刺激がなくなると通常は数秒から十数秒ほどで治まるのが目安です。一方、むし歯では痛みが長く続いたり、何もしなくてもズキズキしたりすることがあります。ただしこれはあくまで目安で、見分けは自己判断が難しいため、気になる症状は歯科で確かめることをおすすめします。

3. ガムを「噛む」ときにしみる・痛むとき
ガムは甘み(味の刺激)と噛む力(機械的な刺激)の両方が加わります。甘みでしみるときは上の1・2が主な原因ですが、噛んだときに痛む・特定の歯に響く場合は、かみ合わせや歯ぎしりの負担、歯のひび(亀裂)、むし歯などが関わっていることもあります。噛むと痛い状態が続くときは、放置せず歯科で確かめてもらうと安心です。

 

知覚過敏で「キーン」と痛むしくみ

象牙質の中には、象牙細管(ぞうげさいかん)という無数の細い管が通っていて、その先は歯の神経(歯髄)につながっています。この管の中は液体で満たされています。露出した象牙質に冷たいものや甘いもの、歯ブラシなどの刺激が加わると、管の中の液体が動き、その動きが神経を刺激して一瞬キーンとした痛みが起こると考えられています(動水力学説)。刺激が弱い痛みでも、神経に近い場所で起きるためツンと鋭く感じられます。

 

象牙質が露出してしまう主な理由

象牙質が外に出てしまう背景には、次のようなものがあります。心当たりが複数あることも少なくありません。

歯ぐきが下がる(歯肉退縮):歯周病・加齢・強すぎるブラッシングなどで歯ぐきが下がると、エナメル質のない歯の根元の象牙質が出てきます。

歯の根元が削れる(楔状欠損):力を入れすぎた横磨きなどで、歯の根元がくさび形にへこむことがあります。

酸で溶ける(酸蝕):酸性の飲食物を頻繁にとると、エナメル質が溶けて内側の象牙質が出やすくなります。

ホワイトニングの影響:薬剤の作用で一時的に軽くしみることがあります。多くは時間とともに落ち着きます。

エナメル質のすり減り:歯ぎしり・食いしばりや、かみ合わせの負担でエナメル質がすり減ることがあります。

歯の根元が削れる楔状欠損については、歯の根元が削れる・すり減る原因と治療法でも詳しく解説しています。

 

知覚過敏とむし歯、どう見分ける?

ご自身で完全に見分けるのは難しいですが、受診の前に整理する目安として、次のような違いがあります。

痛みの長さ:知覚過敏は刺激の瞬間だけで一過性。むし歯は痛みが続く・何もしなくても痛むことがある。

きっかけ:知覚過敏は冷たい・甘い・接触・風など。むし歯は甘いもので持続的にしみる・かむと痛むことがある。

叩いたとき:知覚過敏は軽く叩いても痛みが出にくい。むし歯や歯の根の炎症では鈍く痛むことがある。

甘いものだけでしみる、しみる状態が数日以上続く、だんだん強くなる――こうした場合はむし歯が隠れていることもあります。「知覚過敏だろう」と決めつけて放置せず、歯科で原因を確かめてください。

 

自分でできるセルフケア

象牙質の露出をこれ以上進めないために、毎日のケアで見直せる点があります。

力を入れすぎないブラッシング
ゴシゴシ強く磨くと、歯ぐきが下がったり歯の根元が削れたりして、かえって知覚過敏を招くことがあります。毛先を軽く当て、小さく動かすのが目安です。

フッ素入りの歯みがき剤を使う
フッ化物(フッ素)には歯質を強くし、露出した象牙細管を塞いで刺激を伝わりにくくする働きが期待できます。フッ素入りの歯みがき剤を毎日使うことは、知覚過敏とむし歯予防の両方に役立ちます。

知覚過敏用の歯みがき剤を試す
硝酸カリウムなどを配合した知覚過敏向けの歯みがき剤も市販されています。ただし、その効果を明確に裏づける証拠は十分には得られておらず、やわらいだと感じる方もいれば変化を感じない方もいます。使う場合は続けて様子を見て、改善しなければ歯科に相談してください。

酸性の飲食物のとり方に気をつける
炭酸飲料・かんきつ類・酢の物などをとった直後は、エナメル質が一時的にやわらかくなっています。すぐ強く磨かず、水で口をゆすいでしばらく待つと安心です。

 

歯科医院で行う対処

セルフケアで改善しないときや、原因がはっきりしないときは歯科で対応します。主なものは次のとおりです。

コーティング剤の塗布:露出した象牙細管を塞ぐ薬剤(保険診療ではフッ化ナトリウム・シュウ酸カリウム・グルタラールなど)を歯の表面に塗り、刺激が伝わりにくい膜をつくります。

高濃度フッ化物の塗布:象牙細管を塞ぐ働きに加え、歯質の再石灰化・耐酸性の向上も期待できます。

原因への治療:むし歯・歯周病・かみ合わせや歯ぎしりなど、背景にある原因があればあわせて治療します。

歯科医院での塗布は、歯みがき剤によるケアよりも短期間で症状がやわらぐことが期待できるとされています。治療にかかる期間には個人差がありますが、通常は1週間から1か月程度が目安です。効果の感じ方には個人差があり、症状がぶり返す場合は原因の見直しが必要になることもあります。

 

当院の考え方

当院では、むし歯のリスクが高い方や矯正治療中の方には、診察の際その都度フッ化物洗口をご提案しています。お子さんには、矯正をしているかどうかにかかわらず原則としてフッ化物洗口をおすすめしています。フッ素は露出した象牙質を守るうえでも役立つ考え方です。

セルフケアの基本は、歯みがき1日2回・2分(フッ素入り歯みがき剤)と、歯間清掃1日1回です。歯みがき剤や洗口液などの道具は、適切に使えば有効ですが万能ではありません。ご自身の歯ぐきや歯の状態に合った使い方は個人差が大きいため、歯科医院での指導とセットにすることで価値が高まると考えています。しみる場所や強さは実際に見てはじめて分かることも多いので、気になる方は一度ご相談ください。

 

受診の目安

次のようなときは、我慢せず歯科の受診をおすすめします。

しみる状態が数日以上続く、またはだんだん強くなっている

甘いものでしみる、かむと痛い、何もしなくてもズキズキすることがある

歯ぐきが下がってきた・歯の根元にへこみや段差を感じる

市販の知覚過敏用歯みがき剤を続けても改善しない

とくに、何もしなくてもズキズキ痛む、かむと痛い、夜間に痛む、しみる程度が強くなっている――といった場合は早めの受診をおすすめします。一過性で軽く、悪化していない場合は、上のセルフケアを続けながら数日から2週間ほど様子を見て、改善しなければ受診してください。

これらはあくまで目安です。Web上で診断はできませんので、気になる症状があるときは歯科での診察を受けてください。

 

よくある質問

Q.知覚過敏は自然に治りますか?
軽いものは、原因となる刺激が減ることで落ち着くことがあります。ただし歯ぐきの後退やむし歯など背景に原因がある場合、放っておいて改善するとは限りません。続くようなら受診をおすすめします。

Q.冷たいものはしみないのに、甘いものだけしみます。知覚過敏でしょうか?
知覚過敏のこともありますが、甘いものだけでしみるときはむし歯やその再発が関係していることもあります。見分けが難しいため、歯科で確かめてもらうと安心です。

Q.知覚過敏用の歯みがき剤を使えば治りますか?
症状がやわらいだと感じる方もいますが、有効性は研究でも明確には確認されておらず、効果には個人差があります。続けても改善しない場合は、別の原因がないか歯科で確認しましょう。

Q.強く磨いたほうが汚れは落ちますか?
強すぎるブラッシングは、歯ぐきの後退や歯の根元の削れを招き、知覚過敏の原因になることがあります。力ではなく、毛先を軽く当てて小刻みに動かすことが目安です。

Q.ホワイトニングでしみるのは大丈夫ですか?
ホワイトニング後に一時的に軽くしみることがありますが、多くは時間とともに落ち着きます。強い痛みが続く場合は、施術を受けた歯科に相談してください。

 

まとめ

甘いものやガムで歯がキーンとしみるとき、多くは露出した象牙質による知覚過敏ですが、むし歯やその再発が隠れていることもあります。まずは強すぎるブラッシングを見直し、フッ素入りの歯みがき剤を使うことがセルフケアの基本です。しみる状態が続く・強くなる・甘いもので痛むといった場合は、原因を確かめるために歯科の受診をおすすめします。当院でも、しみる症状のご相談やフッ化物を使ったケアのご提案を行っています。

 

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監修医・医院情報

監修医:小林 伸(医療法人KDS 理事長/日本臨床歯周病学会 認定医/ITIインプラントスペシャリスト/日本顎咬合学会 認定医)
専門:フルアーチインプラント、審美修復、歯周形成外科
所属:日本臨床歯周病学会、日本顎咬合学会、ITIインプラントメンバー ほか
大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室(JR大崎駅徒歩4分/東京都品川区東五反田2-16-1 ザ・パークタワー1F/電話 03-5739-1625)

日本歯科医師会 テーマパーク8020「知覚過敏」:https://www.jda.or.jp/park/trouble/index12.html

神奈川県歯科医師会「歯がしみる知覚過敏とは?」:https://www.dent-kng.or.jp/colum/basic/30075/

e-ヘルスネット(厚生労働省)「フッ化物応用」:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/teeth/yh-021.html

Cochrane Systematic Review「Potassium containing toothpastes for dentine hypersensitivity」:https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD001476.pub2/full

※本記事は一般的な情報提供を目的としたものです。症状の感じ方や治療の効果には個人差があり、すべての方に同じ結果をお約束するものではありません。しみる・痛むなどの症状は原因によって対応が異なりますので、気になる場合は歯科医院での診察をおすすめします。

当院に関する情報の確認日: 2026年7月27日(院長確認)
最終更新: 2026年8月2日



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大崎オーバルコート歯科・矯正歯科室 理事長 小林 伸


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